はじめに
「生活保護」――この言葉を聞いて、あなたはどんなイメージを持ちますか?
「ズルい人がもらってる」「働かずにお金をもらってる」……そんな声、ネットでも現実でもよく耳にします。
でも、私は声を大にして言いたい。
それ、本当に正しい理解ですか?
本記事では、社会福祉士として現場で多くの相談を受けてきた私が、生活保護制度の「本当の意味」と、よくある誤解についてお話します。
晩酌しながらでも読めるように、やさしく、そしてちょっと真面目にまとめました。
生活保護は「最後のセーフティネット」
まず、知ってほしいのは、生活保護は“最終手段”であるということ。
働けるなら働いて、貯金があれば使い切って、頼れる人がいない状態――そのうえで初めて、生活保護の申請を検討する流れになります。
魔法のようにお金がもらえる制度ではありません。
すべての選択肢が尽きたときに、ようやく守ってくれる「最後の砦」なんです。
ネガティブなイメージと現実のギャップ
「怠け者の制度」「甘え」「税金の無駄遣い」――こういった声がある一方で、
本当に困っている人たちが、この制度を必要としている現実もあります。
たとえば、
- 年金だけでは生活できない高齢者
- 子育てと仕事を両立しながらも生活が厳しいシングルマザー
- 障害や病気で働けず、収入が絶たれてしまった方
制度を使うことは、恥でもズルでもありません。命を守る行動です。
悲しいけれど、悪用する人もいる
一部には、確かに制度を悪用する人もいます。
虚偽申告、隠し収入、親族の援助を隠す…
そういった人の存在が、制度全体への信頼を損ねてしまっているのが現実です。
そしてその影響で、
本当に困っている人が「受けづらくなる」空気が生まれてしまう。
これは制度の大きな課題であり、非常に残念なことです。
生活保護の前に使える制度もある
実は、生活保護に行く前に活用できる制度もあります。
- 住居確保給付金
- 社会福祉協議会の貸付制度(緊急小口・総合支援資金)
- 自立相談支援事業
生活保護に頼る前に、こういった支援を活用することで、生活の立て直しができることもあります。
生活保護は“万能”じゃない
生活保護を受けたらすべて安心、というわけではありません。
実際には様々な制約もあります。
- 車の保有が難しい
- 親族に「援助できませんか?」と照会が入ることもある
- 保護費は必要最小限で、贅沢はできない
制度には限界もあり、それでも**「最低限の生活を守る」ためにある**ということを知っておいてほしいのです。
最後に:この制度の意味と意義を忘れないで
生活保護は、本当に困っている人の命と生活を守るための制度です。
決して「楽して生きるため」の制度ではありません。
だからこそ、
- 安易にすすめるものでもない
- 批判だけで片づけるものでもない
正しい知識と理解の上で、必要な人に制度がきちんと届くこと。
それが、今の社会に求められていることだと思います。
🎧動画でもっと詳しく話してます!
📺【生活保護=ズルい?その誤解、福祉職が正します】
▶️ YouTubeで公開中!https://youtu.be/OlpL9-14sys
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