退院支援という名の強制退院。MSWに押しつけられた理不尽な現場

晩酌福祉士:男の育休シリーズ Vol.3

目次

「退院支援という名の強制退院。MSWの胃はもう限界。」


🍶プロローグ:育休は終わった、そして悪夢が始まった

育休から復帰して早々、説明会で地獄を見た僕。
「まあ、育休取らせてもらったし…多少は頑張ろう」なんて、
ほんのちょっと前向きな気持ちもあったんです。

でもその“多少”って、
 「退院支援=強制退院執行係」のことだったんでしょうか?


🏥事業承継された“過去持ち”の赤字病院

そもそも、うちの病院──
赤字になるべくして赤字になった病院なんです。

■ 医療区分?関係ない。
療養病棟?「退院しなくていい」って条件でどんどん入院させる。
■ 経営感覚?どこ行った?

そんな病院が、事業承継され、
3カ月で療養病棟の一部を地域包括ケア病棟に転換する

と、急に言われたんです。

「今から退院支援、しっかりやってもらわないとね」

…いや、“支援”じゃないですよね、それ。


👨‍⚕️僕は、地域連携室を立ち上げるために雇われたMSW

実はこの病院、事業承継前は地域連携室すらなかった
そこに立ち上げ要員として僕が採用されたわけです。

つまり──
■ 過去の患者背景、分かりません
■ 以前の職員のやり方、分かりません
■ ご家族との関係性、築けてません

…そんな状態で、いきなり「この人たち退院させて」って?

正気ですか、事務長。


☠️事務長の無茶っぷりが限界突破

「退院支援」は、状況に応じて、本人・家族・主治医と連携して
段階を踏んで慎重に進めるべきもの

でも、うちの事務長──

「僕が直接家族に電話して、退院してもらうよう伝える」

……いやいやいやいやいや。
ただの事務長がいきなり家族に“退院してください”って言うの?
主治医もいないのに?
病状説明も、調整も、何もなしで??

当然、家族はカンカンです。


🚨怒鳴りこむ家族、名指しで呼ばれるMSW

病院に怒鳴り込む家族。
「なんで急にそんなこと言うのか説明しろ!」と。

事務長&院長が対応するも収拾がつかず──

「相談員さんと話をさせてください」と名指しされる。

ああ、また僕ですか。
事務長の尻ぬぐい、また僕ですか。


💬共感と“うまい悪口”で乗り越える退院交渉

怒ってるご家族に、
まずは徹底的に“共感”

事務長の言動に対しては…

「私も、正直それはちょっと…って思ってます」
「あの方、伝え方が独特で…すみません」

※直接ディスらず、うまく“察してもらう”悪口がコツです。

時間をかけて、状況を整理し、
生活環境・経済状況・本人の思いも聞いて、
ようやく退院の話にこぎつける。

でも、もうメンタルはボロボロ。
胃がキリキリして、仕事終わりには無言になる。


🏠そして、家庭でもじわじわ育児疲れが再燃

その頃、家庭にも不穏な空気が戻ってきていた。

■ 娘は相変わらず寝てる時しかミルクを飲まない
■ 妻はひとり育児に逆戻り
■ 外出もままならず、気分転換もできない日々

少しだけ回復していた妻の表情が、また曇っていく。

「やっぱり、2週間だけじゃ足りなかったのかな…」


🍺晩酌が唯一の“自分”の時間だった

この頃から、
晩酌の時間が唯一のリセットタイムになっていった。

今日も一日、誰かのために胃をすり減らした。
明日もたぶん、怒鳴られるし、説明するし、詫びるんだろう。

それでも、この一杯だけは自分のもの。


📝おわりに:サラリーマンMSWの悲哀と現実

退院支援という名の「強制退院執行係」。
患者の生活も、家族の思いも、MSWの提案も、
全部「仕方ない」の一言でかき消される。

それが、サラリーマンMSWの現実。

育休はありがたかった。
でも、それとこれとは話が違う。

今日の晩酌一言

今日の晩酌:芋焼酎(お湯割り)
お湯割りは優しい。事務長より100倍伝わる。

 

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この記事を書いた人

わいじろー|社会福祉士 × 晩酌トークブロガー
こんにちは、社会福祉士の「わいじろー」です。

福祉現場でのリアルな体験や制度の裏話を、晩酌しながらゆる〜く語るこのブログ。「福祉ってなんか難しそう…」と思ってる方にも、酒のつまみにできるくらい軽く読めるようにをモットーに書いてます。

介護現場から始まり、支援相談員(老健)・医療ソーシャルワーカー・地域包括支援センター・福祉用具専門相談員などを経て、社会福祉士として幅広く経験してきました。

福祉職の転職や、制度のグレーゾーンあるある、時々毒舌。
「それ、分かる〜」と笑ってくれたらうれしいです。

▶ 晩酌福祉らじお(YouTube)でも配信中!
▶ 趣味はゲームと料理です。
▶ 育児真っ最中

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