年末年始に実家へ帰省して、
- 「あれ、親の歩き方が前と違う」
- 「立ち上がるのに時間がかかっている」
- 「夜中にトイレに行くのが危なそう」
こんな変化に気づいた方は少なくありません。
そして年明けになると、病院や地域包括支援センター、ケアマネジャーには同じ相談が一気に増えます。
「福祉用具って、どうやって使い始めるんですか?」
この記事では、社会福祉士であり、福祉用具専門相談員としての現場経験もある私が、介護保険を使って福祉用具レンタルを導入するまでの流れを、できるだけ専門用語を使わず、分かりやすく解説していきます。
そもそも福祉用具レンタルとは?
福祉用具レンタルとは、介護保険を使って
- 介護ベッド
- 車いす
- 歩行器・歩行補助杖
- 手すり(工事を伴わないもの)
などを月額料金で借りられる制度です。
購入との大きな違いは、
- 状態が変われば交換できる
- 合わなければ変更できる
- メンテナンスは事業者任せ
という点です。
高齢者の身体状況は、良くも悪くも変化します。
「とりあえず買う」より、レンタルの方が結果的に負担が少ないケースは非常に多いです。
介護保険でレンタルするための前提条件
福祉用具レンタルを介護保険で使うには、原則として
- 要介護認定を受けていること
が必要です。
※要支援の方でも利用できる用具はありますが、内容は限定されます。
まだ認定を受けていない場合でも、
- 申請中
- これから申請予定
であれば、ケアマネジャーや地域包括支援センターに早めに相談することが重要です。
福祉用具レンタル導入までの全体の流れ
ここが一番知りたいところだと思います。
実際の流れは以下の通りです。
① ケアマネジャーに相談する
まず最初に行うのは、ケアマネジャーへの相談です。
- どんなことで困っているのか
- 家の中で危ない動きはないか
- 生活で一番負担になっている場面はどこか
これを整理する役割を担うのがケアマネです。
「どの福祉用具を使うか」を決める前に、
生活全体を見て必要性を判断するのがケアマネの仕事です。
② 福祉用具専門相談員が訪問する
次に登場するのが、福祉用具専門相談員です。
実際に自宅を訪問し、
- 身体状況
- 住環境(段差・動線・部屋の広さ)
- 家族の介助状況
を確認します。
ここで大事なのは、
「カタログで選ばない」
ということ。
現場では、
「ベッドを入れたら動線が塞がった」
「サイズが合わず逆に危険になった」
という失敗を何度も見てきました。
③ 試用・選定(ここが超重要)
多くの方が知らないのですが、
福祉用具は“試してから決める”ことができます。
- 実際に立ち上がってみる
- 寝返りが打てるか確認する
- 家族が介助しやすいかを見る
この段階で遠慮せず、
- 使いにくい
- 思ったのと違う
- 不安が残る
と伝えることが、後悔しないコツです。
④ ケアプランへの位置づけ
福祉用具を使うには、
ケアマネジャーが作成するケアプランに位置づける必要があります。
ここで
- なぜ必要なのか
- どんな生活課題を解決するのか
が明確になります。
「とりあえず入れる」では、
後々トラブルになることもあるため重要な工程です。
⑤ 契約・利用開始
内容が決まれば、
- 契約書の説明
- 自己負担額の確認(1〜3割)
を行い、利用開始となります。
多くの場合、相談から利用開始まで1〜2週間程度です。
ケアマネと福祉用具相談員の役割の違い
よくある誤解が、
「誰に何を相談すればいいか分からない」
という点です。
簡単に言うと、
- ケアマネ:生活全体の設計者
- 福祉用具相談員:用具の専門家
です。
どちらか一方ではなく、
連携してこそ安全な導入になります。
よくある失敗例(現場あるある)
・家族が先に購入してしまう
「急いでいたから」と購入した結果、
- サイズが合わない
- 状態に合っていない
というケースは非常に多いです。
・とりあえず介護ベッド
ベッドが悪いわけではありませんが、
今の生活課題に合っていない導入は意味を持ちません。
導入後に必ず知っておいてほしいこと
- 合わなければ交換できる
- 状態変化で見直してOK
- ケアマネに遠慮はいらない
福祉用具は「入れて終わり」ではありません。
使い続けながら調整するものです。
まとめ|分からなくて当たり前です
介護や福祉用具は、
突然始まることがほとんどです。
分からなくて当然ですし、
最初から完璧に理解する必要もありません。
大切なのは、
- 一人で抱え込まないこと
- 専門職をうまく使うこと
この記事が、
「何から始めればいいか分からない」
その不安を少しでも減らせたら幸いです。
必要なときは、遠慮なく相談してください。


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